フィボナッチ数列の一般項の導出

フィボナッチ数列とは 編集

こちらを参照、以下の漸化式で表される数列である。
F0=0,
F1=1,
Fn+2=Fn + Fn+1
すなわち、0, 1, 1, 2, 3, 5のように2つ前の項と1つ前の項を足すと次の項になる。

一般項とは 編集

その数列{an}のn項目の数字を、nの式で表したもののこと。

導出 編集

特性方程式というものを使って解く方法もあるが、今回はそうでない方法で求める。(特性方程式については、Topic:数列#フィボナッチ数列の一般項の求め方を参照のこと。)

母関数とは 編集

母関数とは、数列{an}の数列の情報をもつ係数を使った関数で、すなわち以下のような式のことである。
 
よって、フィボナッチ数列の母関数は、 

母関数の閉じた式 編集

閉じた式というのは、有限個の関数の組み合わせによって得られる式のことである。 例として、初項1,公比rの等比数列{bn}=1,r,r2,r3…について考える。
これらのn項目までの和は、公式より 
n→∞の極限を考えてみると、|r|<1のとき、rnは0になるため、  となる。 だから、形式的に1+r+r2+r3…= とする。

f(x)の閉じた式 編集

以下のように計算をする。
           ・・①
             ・・②
           ・・③

そして、①-②-③を計算すると、2乗以上の項は0になるし、0x0=0のため、以下の式が得られる。
 
f(x)でくくって、 
 
これがf(x)の閉じた式、母関数である。これを無限級数の形で明示的に表せばはフィボナッチ数列の第n項anになる。

等比数列との比較 編集

というわけで、f(x)を に近づけることにする。 とりあえず1-x-x2を因数分解してみる。 これが、(1-ax)(1-bx)と因数分解できたとする。したがって、 となる。 これを、 の和の形にしたい。

分解して係数比較 編集

部分分数分解という式変形を使う。
 とおくと、両辺を 倍すると、 

展開して係数比較 編集

したがって、s+t=0,bs+at=-1であるとわかる。
また、 より、a+b=1.ab=-1とわかる。

a,bの導出 編集

先程の式から、以下の方程式が導かれる。
 
ab=-1を変形する。 
上の式に代入して解く。
 
 
 
 
 
2次方程式の解の公式に代入する。  
aを代入して求めると、 なので、a>bとすると、   

s,tの導出 編集

a,bを代入し、もう一度連立方程式を解く。
 
下の式を2倍する。 ・・①
上の式に をかける。 ・・②
①ー②を計算 
カッコ内を計算 
-2でわる 
したがって、  これを上の式に代入して、 

一般項を文字で表す 編集

以上から、得られた変数を代入して、  この{}内の式は、先程の等比数列の無限級数、 であったので、このrにax,bxを代入した式となる。すなわち、  
以上から、フィボナッチ数列のn項目は となる。

結論 編集

a,bを代入して、   これがフィボナッチ数列の一般項である。