集合学は、数学の重要な一分野です。集合とは、ものや数字の集まりのことで、その集合を形成する個々のものを要素と言います。また、集合は命題と証明という分野にも関わります。以下に、集合に関しての説明、例や問題をのせました。
集合
編集まず集合が何なのかというと、範囲が明確なもの(要素)の集まりです。例えば、「肉」という集まりは含まれるものが明確なので集合ですが、「美味しい食べ物」の集まりは範囲が明確ではないので集合とは呼べません。
帰属関係
編集そもそも帰属関係という単語を初めて聞いた人がほとんどだと思います。帰属関係というのはざっくり言うと、要素と集合の関係です。
右画像においてaは集合Aに属すると言い、 a∈A または A∋a と表します。 そしてbは集合Aに属さないと言い、 b∉A または A∌b と表します。
√2が無理数であることの証明
編集ある数が無理数であるかどうかの性質を無理性(むりせい、irrationality)といいます。 の無理性の証明はいくつか知られていますが、ここでは背理法による証明を試みます。そのためにまず、次の補題を対偶による証明を用いて証明します。対偶は、先ほど図で説明した通り、その命題の真偽と一致します。
m を整数とする。
- が偶数ならば、m は偶数である。
補題の対偶をとると、
- m が奇数ならば、 は奇数である。
m を奇数とすると、m は整数 n を用いて、
と表せる。両辺を2乗すると、
右辺から2をくくり出すと、
n が整数であることから も整数であり、 は奇数である。したがって、整数 m が奇数ならば は奇数であることが示せたので、 が偶数ならば m は偶数であることが示された。∎
が有理数であると仮定すると、 は 1 以外の公約数をもたない整数 m, n を用いて次のように表せる。
両辺を2乗すると、
両辺に を掛けて分母を払うと、
よって は偶数であり、m も偶数であるので、m は正の整数 k を用いて、
と表せる。これを の右辺に代入すると、
両辺を2で割ると、
よって は偶数であり、n も偶数であるが、m と n が偶数(2の倍数)であることは m と n が 1 以外の公約数をもたないことと矛盾する。したがって、 は無理数である。∎
- 補足
- 整数 m, n が 1 以外の公約数をもつと仮定すると、分数 は約分してより簡単な分数に直すことができます。そのため、m, n は 1 以外の公約数をもたず、 は約分できない分数であると仮定したのです。このように、1 以外に公約数をもたない整数 m, n は互いに素(たがいにそ、coprime)であるといいます。互いに素な整数 m, n を使って表される、これ以上約分できないような分数 は、既約分数(きやくぶんすう、irreducible fraction)といいます。