本講義では、身近にある光について考察を深めていきます。

身近にある光

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身近にある光と言って、まず思い浮かべるのはなんだろうか。

 
ロウソクにともされる火
 
JR東日本E233系の行き先案内板
 
札幌市すすきので見られるネオンサイン群

日中、屋外で浴びる太陽光。夜に暗くなったからと点ける蛍光灯やLEDの灯り。誕生日のときにケーキに刺すロウソクの灯りもそうだ。では身近で光っているものを列挙してみよう。

  • 太陽
  • 蛍光灯
  • LED電球
  • 白熱電球
  • ロウソク
  • パソコンのディスプレイ
  • テレビ
  • バスや電車の行き先案内板
  • 携帯電話やスマートフォンの画面
  • タブレット端末
  • エレベーターの階数ボタン
  • ネオンサイン
  • 車のヘッドライト
  • 鉄工所で融けている鉄

例えば、電車の「快速 東京行」の電光掲示板はフルカラーLED技術が用いられているし、体育館で用いられている白熱電球はフィラメントが熱せられて熱と共に光が生じる。融けた鉄のように赤いものもあれば、月のように白く見えるものもある。光は色彩を得るための重要なファクターでもある。

我々の生活はぱっと考えるだけでこれだけのものが存在しているのである。まさに身近にある光はなくてはならない存在なのである。

生活を支える光

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香港国際空港の案内板

我々は光と共に生活し、光を利用している。それは自然光のように、ごく当たり前に接しているものから、その理論を解き明かして応用しているものまである。先ほどの電光掲示板はまさに光を活用した技術の一つである。

光は我々の眼に見えないところでも活躍している。それは光ファイバーを用いた光通信技術であったり、携帯電話の赤外線通信機能、自動ドア開閉用のセンサ、太陽光発電のソーラーパネルなど。今はインフラを整備する上でも重要な地位を占めている。

光技術は、いつでも既存の技術を置き換えてきた歴史がある。古代では人は火を起こし、それで暖を取り夜間に獣の襲撃を警戒した。時代が進むと、ロウソクや油によって光を得た。いつしか電気が発明され、光を得る手段は火から電球へと変わった。その電球もフィラメントを用いた白熱電球から、蛍光灯と移り変わり、LEDを用いた省エネルギーでたくさんの光が得られるように進化していった。通信もそうである。長距離に言葉を伝えるためには、人は口伝えだったり手紙をやり取りしていた。いつしかそれは電話技術となった。今では光通信技術の進歩により光電話なるものも登場した。無線の分野においても、近距離であれば赤外線で通信が可能となった。記録媒体も磁気式テープから、CDやDVD、HDDなどの半導体メディアへと発展し、今日では大容量のデータを保存できるにまでなった。そして、今まで光を使っていなかった部分にまで進出したのである。看板には夜間に照明として光が用いられていたが、現在では看板自身が光技術によって動き、静的だった画を動的にし、興味をより引かせようとするまでになった。色も単色から2色、2色から3色、そして遂にはフルカラーへと進歩をし続けた。

今、この講義を受けている諸君にはもう一度周りを見ていただきたい。今、講師である私が述べたのは光技術の一端なのである。もしかすると、私が今最新であると述べたものでも、今の諸君らにとっては陳腐化し、別の技術に置き換わっているかもしれない。光陰矢のごとしとはよく言ったもので、光は常に我々に新しい発見と、新しい技術をもたらしてくれるすばらしいものなのである。

実生活上で見る光

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光を見せる為に使用していることがある。それはすなわち照明である。照明は光による情報を我々に与えてくれる。それは印象としてもかなり変わってくるのである。

 
ドイツの一般家庭におけるリビングの例

リビングの照明をイメージして欲しい。今、諸君らは暖かいイメージとしてのリビングや、はっきりとした視界を得る照明が取り付けられたリビングを思い浮かべただろう。では、その思い浮かべた色をイメージしてみる。おそらく赤っぽいイメージの人は「あたたかい」だったり「くつろぐ」といった言葉が当てはまるようなリビングをイメージしただろう。青っぽいイメージの人は今住んでいるのがワンルームマンションかもしれないが、「仕事をする」や「読書をする」、「清潔感」などといった言葉が当てはまるようなリビングをイメージしたのだろう。

これは色から来る寒暖のイメージなどがその雰囲気を演出しているのである。何かに集中する場合は「くつろぐ」というイメージとは反対なのはおわかりだろう。寒いよりも暖かいほうが気持ちとして落ち着く人が多いのだから、くつろぐのは赤っぽい色のほうが好まれるのである。極端に暑いとか寒いというのは不快でしかないのでここでは考えないでもらいたい。

印象を変えると言う点で、色と言うのは重要な要因になりえる。そして照明で用いられる色一つで、同じものでも印象がまるで変わってくるのである。

 
陳列されている精肉

もう一つ例に取ってみよう。ここはスーパーの精肉売り場である。今日、諸君はサーロインステーキを食べたいので、その肉を買いにきた。そして諸君はステーキ肉がパック詰めされているところまできた。100gで298円のオーストラリア産のステーキ肉、150gである。さて、ここで2パターンで考えて欲しい。

  • 寒色光(青白い光)でディスプレイされているステーキ肉
  • 暖色光(赤っぽい光)でディスプレイされているステーキ肉

寒色で照らされた肉は、肉本来が持つ赤と照明で得られた青が共に打ち消しあってしまう。結果として黒っぽく、新鮮さがあまり感じられない肉に見える。一方で暖色で照らされた肉は、肉が持つ赤と照明で得られた赤で、見たときに赤みが増す。結果として赤っぽく、新鮮さを感じる肉に見える。諸君ならどちらを手にして購入するだろうか。私なら新鮮な肉が欲しいので、きっと赤い照明でディスプレイされた肉を手に取るだろう。

このように、演出するための光と言うのも非常に重要なのである。我々が眼で見た情報というのは色の情報が複雑に積み重なった結果なのである。