「Topic:数と式」の版間の差分

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ページの作成: ==数と集合== 「りんごが1つ、りんごが2つ、りんごが3つ」のように、ものの数を数えるときに使う 1, 2, 3, 4, 5, ... という数を、'''自然...
 
とりあえずここまで
39行目:
*<math>1 \div 4 = \frac{1}{4} = 0.25</math>
 
このようなことから、整数全体の集まりに小数や分数をつけくわえて、足し算、引き算、掛け算、割り算の四則計算が自由に行える、もっと大きな数の集まりを作る必要があると考えられます。
 
===実数===
0.5 0.25 のような小数は、<math>\frac{1}{2}</math> や <math>\frac{1}{4}</math> のような分数を使って表すことができます。さらに、0.3333333333... のような無限に続く小数も、<math>\frac{1}{3}</math> という分数を使って表すことができます。このことから、小数の中には分数で表せるものが存在することがわかります。
 
0.5 0.25 のような小数と、0.3333333333... のような小数を区別するために、小数点以下の数字が限りなく続く小数を'''無限小数'''(むげんしょうすう、infinite decimal)といいます。それに対して、小数点以下の数字がどこかで終わる小数を'''有限小数'''(ゆうげんしょうすう、finite decimal)といいます。
 
0.5 0.25 のような小数は有限小数です。0.3333333333... 0.31818181818... のような小数は無限小数です。
 
0.3333333333... 0.318181818... のような無限小数はよく見ると、小数点以下で 33333... 181818... のように、同じ数字の並びが繰り返されていることがわかります。このように決まった数字の並びが繰り返される無限小数のことを、とくに'''循環小数'''(じゅんかんしょうすう、repeatrepeating decimal)といいます。
 
;小数
63行目:
*<math>\frac{100}{101} = 0.99009900990099009900\ldots</math>
 
循環小数の同じ数字が繰り返しになっている部分のことを、'''循環節'''(じゅんかんせつ、repeating)といいます。循環小数をいちいち 2.142857... のように「...」を使って書くのは面倒であり、パッと見て循環節がわかりにくいので、これからは循環節の最初の数字と最後の数字、たとえば 2.142857... の 1 と 7 の上に点をつけて表すことにします。0.333... のように循環節が1桁しかない場合は、3だけに点をつけます。
ここで一辺の長さが1の正方形の対角線の長さが <math>\sqrt{2}</math> になることを証明し、<math>\sqrt{2}</math> が循環しない無限小数になることを示して、有理数および無理数、そして実数の概念を導入する予定です。
 
*<math>\frac{2}{3} = 0.\dot{6}</math>
*<math>\frac{8}{9} = 0.\dot{8}</math>
*<math>\frac{7}{22} = 0.3\dot{1}\dot{8}</math>
*<math>\frac{15}{7} = 2.\dot{1}4285\dot{7}</math>
*<math>\frac{100}{101} = 0.\dot{9}90\dot{0}</math>
 
これでだいぶ見やすくなりました。
 
ここまでで出てきた小数は、すべて有限小数か循環小数かのどちらかでしたが、無限小数のうち小数点以下に同じ数字が繰り返されることのない、循環しない無限小数というのは存在しないのでしょうか。
 
[[Image:DoublingTheSquareV1.svg|thumb|200px]]
[[Image:Square root of 2 triangle.svg|thumb|200px]]
 
ここで一辺の長さが1の正方形を考えます。この正方形の面積は 1 × 1 = 1 なので、対角線で区切って半分にした三角形の面積は <math>\frac{1}{2}</math> です。面積が <math>\frac{1}{2}</math> の三角形を4つ集めると、面積が <math>\frac{1}{2} \times 4 = \frac{4}{2} = \frac{2}{1} = 2</math> の大きな正方形ができあがります。大きな正方形の一辺の長さ ''x'' は、最初に考えた一辺の長さが1の正方形の対角線の長さに等しくなり、次の方程式を満たします。
 
:<math>\begin{array}{lcl}
x \times x &=& 2 \\
x^2 &=& 2
\end{array}</math>
 
''x'' は2乗すると2になる数を表しています。このような数を表すために、新しい概念を導入しましょう。
 
一般に2乗すると ''a'' になる数を、''a'' の'''平方根'''(へいほうこん、square root)といいます。''a'' の平方根は二次方程式 <math>x^2 = a</math> の解 ''x'' です。これを変形すると、<math>x^2 - a = 0</math> とも書けます。
 
:2乗のことを'''平方'''(へいほう、square)ともいいます。二次方程式の解は'''根'''(こん、root)とも呼ばれるので、二次方程式 <math>x^2 - a = 0</math> の解を平方根と呼ぶのです。
 
ところで、二次方程式の解は一般に(重解でなければ)2個あるので、<math>x^2 - a = 0</math> の解である ''a'' の平方根も高々2個あると予想できます。実際、2乗して4になる数を考えると、<math>2^2 = 2 \times 2 = 4</math> だけでなく、<math>(-2)^2 = (-2) \times (-2) = 4</math> もあるので、4の平方根は 2 と -2 の2つあることがわかります。
 
;定義(平方根)
:二次方程式 <math>x^2 - a = 0</math> の解 ''x'' を、''a'' の平方根という。そのうち'''正の平方根'''(せいのへいほうこん、principal square root; 主平方根)を <math>\sqrt{a}</math>、'''負の平方根'''(ふのへいほうこん、negative square root)を <math>-\sqrt{a}</math> と書く。
 
;補足
:<math>\surd</math> は'''根号'''(こんごう、radical symbol)と呼ばれる記号で、平方根を表すために使用します。
 
ただし、0の平方根は <math>0^2 = 0</math> だけなので、<math>\sqrt{0} = 0</math> です。正の平方根 <math>\sqrt{a}</math> と負の平方根 <math>-\sqrt{a}</math> をあわせて <math>\pm\sqrt{a}</math> と書きます。プラスとマイナスを合わせた「±」は'''複号'''(ふくごう、plus-minus sign)と呼ばれる記号で、「プラスマイナス」と読みます。
 
たとえば、
:2の平方根は <math>\pm\sqrt{2} = \sqrt{2}, -\sqrt{2}</math> です。2の正の平方根 <math>\sqrt{2}</math> は、一辺の長さが1の正方形の対角線の長さに等しい数です。
:4の平方根は <math>\pm\sqrt{4} = 2, -2</math> です。なぜなら、<math>2^2 = (-2)^2 = 4</math> だからです。
:9の平方根は <math>\pm\sqrt{9} = 3, -3</math> です。なぜなら、<math>3^2 = (-3)^2 = 9</math> だからです。
 
;注意
:「2の平方根」と言った場合は正の平方根 <math>\sqrt{2}</math> と負の平方根 <math>-\sqrt{2}</math> の2つを指しているのに対し、単に「<math>\sqrt{2}</math>」と書いた場合は正の平方根 <math>\sqrt{2}</math> のみを指していることに注意してください。
 
それでは、<math>\sqrt{2}</math> は実際にどのくらいの大きさの数なのでしょうか。2乗して2になる数を考えると、<math>1^2 = 1</math>, <math>2^2 = 4</math> なので、<math>x^2 = 2</math> の解は1より大きく、2より小さい小数になると考えられます。
 
:<math>1 < \sqrt{2} < 2</math>
 
さらに <math>1.4^2 = 1.96, 1.5^2 = 2.25</math> なので、
 
:<math>1.4 < \sqrt{2} < 1.5</math>
 
であることがわかります。
 
このような計算で小数点以下を絞り込んでいき、 <math>\sqrt{2}</math> の値を小数第10位まで求めると、次のようになりました。
 
:<math>1.4142135623 < \sqrt{2} < 1.4142135624</math>
 
まだ <math>\sqrt{2}</math> の正確な値は求められません。この計算はいくらやっても終わらないので、<math>\sqrt{2}</math> は無限小数であると考えられます。さらに <math>\sqrt{2}</math> の小数点以下は同じ数字の繰り返しになることがないので、<math>\sqrt{2}</math> は'''循環しない無限小数'''であると考えられます。
 
:<math>\sqrt{2} = 1.4142135623\ldots</math>
 
 
{| class="wikitable"
|+ 10以下の自然数の正の平方根(小数第100位まで)
! <math>\sqrt{n} \ (1 \le n \le 10)</math>
|-
| <math>\sqrt{1} = 1</math>
|-
| <math>\sqrt{2} = 1.4142135623730950488016887242096980785696718753769480731766797379907324784621070388503875343276415727\ldots</math>
|-
| <math>\sqrt{3} = 1.7320508075688772935274463415058723669428052538103806280558069794519330169088000370811461867572485756\ldots</math>
|-
| <math>\sqrt{4} = 2</math>
|-
| <math>\sqrt{5} = 2.2360679774997896964091736687312762354406183596115257242708972454105209256378048994144144083787822749\ldots</math>
|-
| <math>\sqrt{6} = 2.4494897427831780981972840747058913919659474806566701284326925672509603774573150265398594331046402348\ldots</math>
|-
| <math>\sqrt{7} = 2.6457513110645905905016157536392604257102591830824501803683344592010688232302836277603928864745436106\ldots</math>
|-
| <math>\sqrt{8} = 2.8284271247461900976033774484193961571393437507538961463533594759814649569242140777007750686552831454\ldots</math>
|-
| <math>\sqrt{9} = 3</math>
|-
| <math>\sqrt{10} = 3.1622776601683793319988935444327185337195551393252168268575048527925944386392382213442481083793002951\ldots</math>
|}
 
===集合===
69 ⟶ 157行目:
===式の展開と因数分解===
===一次不等式===
 
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