我々が知覚できるこの世のものは、多くは、あるいはほとんどは、物質で構成されていると考えることができます。極小の原子から巨大な銀河まで、視覚的、理念的にとらえられる多くのものが物質から出来ています。物質とは、ある有限の空間を占め、質量を有するものと定義することができます。質量とは慣性(運動の変化に対する抵抗力)と呼ばれる物質の特性とよく似たものですが、化学を学ぼうとしている我々の目的から見ると、質量は物質を規定する特性の一つと考えてよいでしょう。

知られている物質のほとんどは原子からできています。そのため原子はこの宇宙の構成単位と呼ばれています。原子はその元素が持つ特性が維持される最小単位です。元素はただ一種類の原子からなる物質です。例えば、我々をとりまく空気は大部分が窒素ガスでできています。この窒素ガスは窒素原子からできていますが、この窒素原子同士は区別することができず、同じ性質を持っています。したがってこれらは同じ元素であると言えます。

物質の量についての重要な定数として、アボガドロ数=6.022x1023があります。これは、12グラムの(質量数12の)純炭素塊に含まれている炭素原子の数に等しく、(12個を1ダースと呼ぶように)この数を1モルと呼び、1モルの純物質に含まれている分子数はアボガドロ数に一致します。